Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 201.612 caratteri · 405 schermate
半七捕物帳
一
「残念、残念。あなたは運がわるい。ゆうべ来ると大変に御馳走があったんですよ」と、半七老人は笑った。
それは四月なかばのうららかに晴れた日であった。
「まったく残念でした。どうしてそんなに御馳走があったんです」と、わたしも笑いながら訊いた。
「と云って、おどかしただけで、実はさんざんの体で引き揚げて来たんですよ。浅蜊ッ貝を小一升と、木葉のような鰈を三枚、それでずぶ濡れになっちゃあ魚屋も商売になりませんや。ははははは」
よく訊いてみると、きのうは旧暦の三月三日で大潮にあたるというので、老人は近所の人たちに誘われて、ひさしぶりで品川へ潮干狩に出かけると、花どきの癖で午頃から俄か雨がふり出して来た。船へ逃げ込んで晴れ間を待ちあわせていたが、容易に晴れるどころか、ますます強降りになって来るらしいので、とうとう諦めて帰ってくると、意地のわるい雨は夕方から晴れて、きょうはこんな好天気になった。なにしろ前に云ったような獲物だからお話にならない。浅蜊はとなりの家へやって、鰈は老婢とふたりで煮て食ってしまったというのであった。
きのうの不出来は例外であるが、一体に近年はお台場の獲物がひどく少なくなったらしいと老人は云った。