Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 201.612 caratteri · 405 schermate
藤四郎はもう五十以上の老人であったが、若い者とおなじように駈けつづけて、品川の宿まで追い込んでゆくと、松蔵ももう逃げおおせないと覚悟したらしい、急に振り返って執念ぶかい追手に斬ってかかった。
両側の店屋では皆あれあれと立ち騒いでいたが、一方の相手が朝日にひかる刃物を真向にかざしているので、迂闊に近寄ることも出来なかった。短刀と十手がたがいに空を打って、二、三度入れ違ったときに、藤四郎の雪駄は店先の打ち水にすべって、踏みこらえる間もなしに小膝を突いた。そこへ付け込んで一と足踏み込もうとした松蔵は、俄かによろめいて立ちすくんだ。頭の上の二階から重い草履がだしぬけに飛んで来て、かれの眼をしたたかに撲ったのであった。立ちすくむ途端に、かれの足は藤四郎の十手に強く打たれた。これ以上は説明するまでもない。松蔵の運命はもう決まった。
草履の主は伊勢屋のお駒であった。かれは朝帰りの客を送り出して、自分の部屋を片付けていると、表に捕物があるという騒ぎに、ほかの朋輩たちと一緒に表二階の欄干に出てみると、あたかもここの店さきで十手と短刀がひらめいている最中であった。かれらは息をのんで瞰下していると、捕手の同心が打ち水にすべって危うく倒れかかったので、お駒は思わず自分の草履を取って、一方の相手の顔に叩きつけた。