Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 215.865 caratteri · 432 schermate
三年たてばきっと帰ってくるから心配してくれるな。世間ではお嬢さんと駈け落ちしたなどと云い触らすかも知れないが、それにも訳のあることだから、お山にもよく云ってくれ。御主人の為と親の為とで斯ういうことをするのだから、かならず悪く思ってくれるなと書いてあった。
「この手紙に三十両のお金を付けて、人に頼んでそっと届けてよこしたんです」と、女は泣きながら云った。「これが確かな証拠です。御主人の為にと書いてあるじゃありませんか。親の為とも書いているのを見ると、三年の間どこにか隠れていれば、きっと五十両やるとか百両やるとかいう約束があるに相違ありません。あれは親孝行な人間ですから、そんなことを引き受けて御褒美を貰って、親に楽をさせる料簡なんでしょうが、わたしの方じゃあお金なんぞは要りません。それより一日も早くわが子の無事な顔がみたいと思っています。三十両のお金は幾らか遣いましたけれど、残った分はみんな返しますから、どうぞ伜を連れて来てください。お願いですから」
かれは再び半七の袖を掴んで、ゆすぶりながら泣いて口説いた。お山という娘も声をたてて泣き出した。
思いもよらない愁嘆場を見せられて、半七ももう仮面をかぶっていられなくなった。