Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(二)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(二) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 215.865 caratteri · 432 schermate
七兵衛が死骸をかかえ起して、胸をくつろげて先ずその疵口をあらためると、からだはまだ血温があった。たった今殺られたにしては、なにかの叫び声でも聞えそうなものだと思いながら、念のために女の口を割ってみると、口のなかから生々しい小指があらわれた。声を立てさせまいとして片手で女の口をおさえたので、女は苦しまぎれにその小指を咬み切ったのであろう。七兵衛はその指を鼻紙につつんで袂に入れた。
「気の毒だが、死骸をその駕籠に乗せてくれ」
死骸を運ばせて、型の通りに検視をうけると、女は両国の列び茶屋の女でお秋というものと判った。胸の疵はやはり槍で突かれたのであった。
「また槍突きか」と、検視の役人は云った。世間の者もそう認めて、お秋の死骸はそのまま引き渡された。併し七兵衛にはそうらしく思われなかった。これまでの手口から考えても、また自分の経験から考えても、槍突きの曲者は柄の長い槍で遠方から突くのである。女を抱きすくめて其の女の口をおさえて胸を突くような遣り口は一度もない。これは槍突きのはやるのを幸いに、槍の穂で女を突き殺して、これも槍突きの仕業であるらしく世間の眼をくらます手段に相違ないと鑑定した。