Classici giapponesi con furigana
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ばんしゅう
晩秋
山本 周五郎
Leggi 晩秋 (ばんしゅう) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.792 caratteri · 23 schermate
惣兵衛も外記もそう戒めたが、都留の気持では機会さえあれば目的を決行するつもりだった。然し主計の起居にはまったくその隙がないのである、日はずんずん経ってゆくが、未明から夜半すぎまで、休みなしに書き物を続ける日課には変りがなかった。そしてそのひたむきな、精根を傾注した姿には、単に隙がないばかりでなく、どこかに強く人の心をうつものさえあった。……心をうつといえば着衣の粗末なことも、食事の簡素なことも驚くほどだった、外記の注意で食糧には卵とか魚鳥の肉を添えるようにしていたが、主計は決してそういう物に箸をつけなかった。或るとき、「お味かげんが悪うございましょうか」と訊ねてみた、すると主計は、「いや喰べつけぬものだから」と答えるだけだった。またはじめは飯も白いのを出していたが、麦を入れるようにと云われて麦飯にした、それも「もう少し麦を多く」という注文が幾たびもあって、ついには貧しい百姓でも食うような黒いものになってしまった。何回となく洗っては仕立直したとみえる着物の、袖口のあたりが綻びていたり、ふと娘ごころから、――縫って差上げよう、と思うのだが、主計はぶきような手つきで、然しかなり巧みに自ら縫い繕うのだった。