Classici giapponesi con furigana
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こよみ
暦
壺井 栄
Leggi 暦 (こよみ) di 壺井 栄 (つぼいさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 56.332 caratteri · 112 schermate
それを埃でも入ったようなふりをしてハンカチの隅で何度も目がしらを拭った。
「そんな話、実枝おおかた皆知らんけんど、姉さんらの誰っちゃ知らんことを一つ知っとら」
実枝はにやにやした。
「どんなこと」
クニ子が自分も知らないことか、というような目つきで見る。
「へっへえ」と、実枝はわざとふざけた声を出し、
「なかなかいえんこっちゃ」と、口をつぐんだ。
実枝のその大事がっている話というのは重吉の死んだあと、片づけをしていた実枝が何気なくぬいた膳の深い抽出の底から、珊瑚の玉のついたいねの若い時の簪が出てきたことなのであった。
「お父さんのお膳の抽出になあ、お母さんのかんざしがあったこと、知るまいが」
実枝は、高子を真中にして並んで歩いていたのを、わざわざクニ子のそばへ行って皆に聞えぬような小声でいった。
「それがどしたん」
なぜだという顔をするクニ子に、高子は、
「鏡台じゃなく、お膳の抽出に入れてあった、いうんで。可愛らしいじゃないか」
と、こういうことには感の鈍いクニ子の顔を見て説明するようにいう。始めて分ったクニ子は、
「あほらしい」
と、心もち気まりの悪いような目つきをした。