Classici giapponesi con furigana
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きょくていばきん
曲亭馬琴
邦枝 完二
Leggi 曲亭馬琴 (きょくていばきん) di 邦枝 完二 (くにえだかんじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.788 caratteri · 24 schermate
果せるかな、両軒共に、己が見世の開板目録を備えて、田舎への土産の客を待っていた。
家へ取って返す道々にも、馬琴はその目録を、眼から離さなかった。おかげで危うく、魚河岸帰りの武蔵屋の荷に、突当りそうになったのを避けは避けたが、一張羅の着物は、腰のあたりを泥だらけにされてしまった。――京伝を訪れた時、襞切れの袴を着けていたのは、まさしくそれがためだった。
それ程熱心に読んで来たせいであろう。長屋の敷居を跨いだ時には、馬琴は両目録中の京伝の著作は、年代順に暗記してしまっていた。
だから京伝が「洒落本の一つも読みなすったか」と訊いた、あの時の馬琴は、内心しめたと、ひそかに腹の中で手を拍っていたに相違なかろう。
「この長屋中の人達にも、当分会えなかろう。だが、厄介者が一人減るんだ。喜んでくれるかも知れねえ」
時々はお医者の代りもしてくれる、調法な人だとは思っていながら、半月も一月も家を空けたりいるかと思えば、夜夜中でも本を読むか、字を書いている変り者の馬琴には、流石に金棒引の連中も、嫁一人世話しようという者がいなかった。が、男世帯の不自由には、いずれも同情していたのであろう。