Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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げつめい

月明

豊島 与志雄

Leggi 月明 (げつめい) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 16.772 caratteri · 34 schermate

Aozora Bunko

それが彼には妙に淋しかった。

が、そればかりではなく、実際不思議な淋しさだった。

帰京の日は、旅の慌しさに何にも感じなかったけれど、翌日から、海鳴の音が時折耳にはっきり蘇ってきた。おかしいなと思うと、冴え返った月が見えてきた。月ならば東京にも輝ってると思い返したが、それがまた変にぎらぎらと生々しい月で、その下に広い砂浜がうち開けて、誰かが向うを向いてじっと佇んでいる。俊子だ……と気がつくと、頭がぼーとした。胸が切なかった。やけに身体を揺ってみた。

「静ちゃん、何してるの、震えるような恰好をして。」

姉がこちらを見ていた。

「頭が妙に重苦しいから。」

それで身体を揺るって奴もないものだけれど、姉は追求して来なかった。それをいいことにして彼は毎日、頭が重苦しいと云っては家に引籠っていた。

月の光りを浴びて砂浜に佇んでる姿は、夜になると殊にはっきりしてきた。海水着一枚の半裸体で――月夜にしては変だけれどそれがしっくり調和していた――いつまでもじいっと、向うを向いたまま立っていた。……それを、力一杯に而もそーっとこちらへねじ向けてやると、真白な顔が、滝のような月の光りを浴びて、その底からにっこり微笑んだ。