Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こだま

木精

森 鴎外

Leggi 木精 (こだま) di Mori Ōgai (森 鴎外) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 2628 caratteri · 6 schermate

Aozora Bunko

余り不思議なので、夢ではないかとも思って見た。しかしどうも夢ではなさそうである。

暫くしてフランツは何か思い付いたというような風で、「木精は死んだのだ」とつぶやいた。そしてぼんやり自分の住んでいる村の方へ引き返した。

同じ日の夕方であった。フランツはどうも木精の事が気に掛かってならないので、また例の岩の処へ出掛けた。

この日丁度午過から極軽い風が吹いて、高い処にも低い処にも団がっていた雲が少しずつ動き出した。そして銀色に光る山の巓が一つ見え二つ見えて来た。フランツが二度目に出掛けた頃には、巓という巓が、藍色に晴れ渡った空にはっきりと画かれていた。そして断崖になって、山の骨のむき出されているあたりは、紫を帯びた紅にうのである。

フランツが例の岩の処に近づくと、忽ち木精の声が賑やかに聞えた。小さい時から聞き馴れた、大きい、鈍い、コントルバスのような木精の声である。

フランツは「おや、木精だ」と、覚えず耳を欹てた。

そして何を考える隙もなく駈け出した。例の岩の処に子供の集まっているのが見える。子供は七人である。皆ブリュネットな髪をしている。血色の好い丈夫そうな子供である。