Classici giapponesi con furigana
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もくばはまわる
木馬は廻る
江戸川 乱歩
Leggi 木馬は廻る (もくばはまわる) di 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9819 caratteri · 20 schermate
彼女は附文されたことなど少しも知らないでいるらしい。それを見ると、格二郎は又しても、未練がましく、そうなると、やっぱり無邪気に見える彼女の様子がいとしくて、あの綺麗な若者と競争をして、打勝つ自信などは毛頭ないのだけれど、出来ることなら、せめて一日でも二日でも、彼女との間柄を、今まで通り混り気のないものにして置きたいと思うのである。
若しお冬が附文を読んだなら、そこには、どうせ歯の浮く様な殺し文句が並べてあるのだろうが、世間知らずの彼女にしては、恐らく生れて始めての恋文でもあろうし、それに相手があの若者であって見れば、(その時分外に若い男のお客なぞはなく、殆ど子供と女ばかりだったので、附文の主は立所に分る筈だ)どんなにか胸躍らせ、顔をほてらせて、甘い気持になることであろう。それからは、定めし物思い勝ちになって、彼とも以前の様には口を利いても呉れなかろう。ああ、そうだ、一層のこと、折を見て、彼女があの附文を読まない先に、そっとポケットから引抜いて、破り捨てて了おうかしら。無論、その様な姑息な手段で、若い男女の間を裂き得ようとも思わぬけれど、でもたった今宵一よさでも、これを名残りに元のままの清い彼女と言葉が交して置きたかった。