Classici giapponesi con furigana
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すだま
木魂
夢野 久作
Leggi 木魂 (すだま) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 23.668 caratteri · 46 schermate
のようになっていた。その習慣は去年の正月に彼の妻が死んだ後までも、以前と同じように引続いていたのであったが、しかし彼は、その愚かな心の習慣を打消そうとは決してしなかった。むしろそれが自分だけに許された悲しい権利ででもあるかのように、ツイこの間まで立ち働らいていた妻の病み窶れた姿や、現在、先に帰って待っているであろう吾児の元気のいい姿を、それからそれへと眼の前に彷彿させるのであった。山番小舎のトボトボと鳴る筧の前で、勝気な眼を光らして米を磨いでいる妻の横顔や、自分の姿が枯木立の間から現われるのを待ちかねたように両手を差し上げて、
「オーイ。お父さーン」
と呼びかける頬ペタの赤い太郎の顔や、その太郎が汲込んで燃やし付けた孫風呂の煙が、山の斜面を切れ切れに這い上って行く形なぞを、過去と現在と重ね合わせて頭の中に描き出すのであった。もっとも時折は、黒い風のような列車の轟音を遣り過したあとで、枕木の上に立ち止まって、バットの半分に火を点けながら、
……又きょうも、おんなじ事を考えているな。イクラ考えたって、おんなじ事を……。
と自分で自分の心を冷笑した事もあった。