Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

すぎがき

杉垣

宮本 百合子

Leggi 杉垣 (すぎがき) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.051 caratteri · 30 schermate

Aozora Bunko

シュルン、シュルン。いかにもつよい近代武器の鋼鉄バネが当ったらあやまたず命につきささる鋭い決然とした弾丸をはじき出すような音である。慎一の胸にかるく手をかけたままきき入っていた峯子は、その鋭い音と慎一の体の温さや鼓動がだんだん一本の線の上につながれて感じられて来た。きいていればいるほどシュルン、シュルンというその恐ろしい深夜の音は、自分たちのいのちにかかわりのあるものとしか思えなくなって来た。峯子はいつか上半身をのり出して、ねむりこんでいる慎一の胸を自分の胸でかばうような姿になった。そして、きき耳をたてた。音は小一時間もつづいたように思えた。そして、やんだ。

その頃東京という大都市の周辺では、夜じゅういろいろな音がした。眠らない人がいた。そして、夜間にする物音は、昼間では全くきくことのない音であった。夜中眠らずに何かやっている軍人たちも昼間は、誰がその眠らない人だったのか、見分けることは出来ないのであった。

朝になって、出窓にかけて新聞をひろげている慎一の姿を眺め、峯子は夜なかに、空気を截って耳につたわって来た音をきいて、あれ程のせつない気がしたというのが、不思議に思えた。