Classici giapponesi con furigana
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まつばやしへんや
松林蝙也
山本 周五郎
Leggi 松林蝙也 (まつばやしへんや) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.092 caratteri · 25 schermate
「――馬鹿者め」
蝙也は右手に持った脇差を拭いながら、腹立たし気に呟いた、――と廊下を転げるように近寄って来て、
「――先生!」
と云う者がある、――見ると、後手に縛められたまま、猿轡を外して、髪を振乱した女……思いもかけぬ町であった。
「おお、おまえ、どうしてここへ」
「や、山根のために、他国へ連れて行かれるところでございました」
「そうか」
蝙也は手早く女の縛めを解放つや、
「武太夫の手引をする者が仙台にあると聞いたが、それでは山根のやつだったのか、――それにしても俺を斬ろうなどとは見下げ果てたやつだ。どこも痛めてはいまいな?」
「はい。中庭にいるところを、いきなり猿轡をかけられ、どうしようもなくここまで担ぎこまれましたが、幸い怪我はございませぬ。今宵のうちにあの椙原という者と連立って江戸表へ出立と聞き……どうなることかと生きた心はございませんでした」
「間に合ってよかった。――人眼については面倒だから、おまえは裏へでもぬけて先に帰っているがよい、俺もすぐあとから帰る」
「では――お先に……」
町はすぐに裏梯子のほうへ去った。
椙原武太夫は伝右衛門の手で縛りあげられていたし、彼の誘拐してきた娘も無事で部屋にいた。