Classici giapponesi con furigana
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かきのたね
柿の種
寺田 寅彦
Leggi 柿の種 (かきのたね) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 70.202 caratteri · 139 schermate
それが年々に眼に見えるように伸び茂って、夏はこんもりした木蔭を作り、いっぱいに咲いた花がこちらの庭に散りこぼれ、やがて腐れて甘ずっぱいような香をみなぎらせた。秋が来ると笑みこぼれた栗の実がこちらの庭へも落ちるのを、当時まだ小さかった子供らが喜んで拾いながら大声で騒いでいたら、やがてお隣からお盆にのせてたくさんな栗の実を持たせてよこした。家内じゅうは顔を見合わせてきまりの悪い思いをしたことであった。
この栗の樹が近年になってなんとなく老衰の兆を見せてきた。夏の繁りもなんとなくまばらで、栗の実の落ちる数も眼立って少なくなって来た。
次第に悪くなる東京の空気のせいであるのか、それともこの樹の本来の寿命によるものか、どうだか自分にはわからない。
とにかく栗の樹などというものは人間よりは長生きするものとばかり思っていたが、一概にそうでもなさそうである。(昭和十年十月十一日)
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住み家を新築したら細君が死んだという例が自分の知っている狭い範囲でも三つはある。立派な邸宅を新築してまもなく主人が死んでその家の始末に困っているという例を近ごろ二つ聞いた。