Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かきいろのかみふうせん

柿色の紙風船

海野 十三

Leggi 柿色の紙風船 (かきいろのかみふうせん) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 14.032 caratteri · 28 schermate

Aozora Bunko

やがて判決言渡があった。

「被告ヲ懲役五年ニ処ス!」

私は晴れて刑務所の人間になった。私は落ちつくところへ落着いて、たいへん安心したのだった。

その頃、世間では「ラジウム入り患者の失踪事件」のことなんか、もうすっかり忘れてしまっていた。病院の方でも、もう出ないものと諦めていた。警察では、真犯人の私のことを、あろうことかあるまいことか、常習万引罪で刑務所に封鎖してしまったので、いくら巷を探したって、犯人が網に懸る筈がなかった。かくして例の事件は、盲点に巧みに隠蔽せられることとなった。

それはそれで大変うまくいったのだが、唯一つ困ったことが出来た。

「なんか異状はないか」

と看守が、私の独房の窓から、室内を覗きこんだ。

「はア、困っていますんで……」

「困っている? それは何か」

「痔でござんす。痛みますんで、夜もオチオチ睡れません」

「睡れないのは、誰でも入りたてはちと睡れぬものさ。痔だなんて、つまらん芝居をするなよ」

「芝居じゃありませんです。じゃそこで看守さんは見て居て下さい。いま此処で股引を脱いで、御覧に入れますから」

そういって私は柿色の股引に手をかけた。