Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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くわのきものがたり

桑の木物語

山本 周五郎

Leggi 桑の木物語 (くわのきものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 39.815 caratteri · 79 schermate

Aozora Bunko

こんな和やかな時間も、正篤がいないとまがもてず、なにか喰べても、酒を飲んでも面白くない。外へでかけても勝んべは左官、瓦屋の熊は料理屋の板前、むかしの遊び仲間はみんなそれぞれ職についている。どっちをみても自分ひとり置いてきぼりをくった感じで、だんだん家にひっこんでいるようになった。

正篤は翌年四月に出府した。悠二郎は待ちこがれて、まるで恋人にでも逢うような気持で挨拶に出たが、正篤はただ祝いの言葉を聞くだけで、おそろしく冷やかな態度を示した。のこって話してゆけとも云わない、……側にいる扈従たちを見ると、新泉も原もすました顔で、すっかり色が黒くなり、躯つきも逞しくなって、いかにも側近護衛といった身構えである。悠二郎はつき放されたような、淋しい気持で御前をさがった。

正篤が出府するとすぐ、悠二郎に役目を解くという沙汰があった。おぼしめしで扈従の役を免ぜられる。追って沙汰あるまで身を劬るように、――そういうことで、お手許から二十金という御下賜があった。

――いよいよ重職の交替だな、それに相違ない、そのときしかるべき役にあげられるのだ、そのための待命というわけだろう。