Classici giapponesi con furigana
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うめづしえんおうでん
梅津只円翁伝
杉山 萠円
Leggi 梅津只円翁伝 (うめづしえんおうでん) di 杉山 萠円 (すぎやまほうえん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 65.582 caratteri · 130 schermate
況んや翁程の芸力と風格を持った人で、聊かでも名聞を好み、俗衆の心を執る考えがあったならば、恐らく世界の文化史上に名を残す位の事は易々たるものがあったであろう。
これは決して筆者の一存の誇張した文辞ではない。その当時の翁の崇拝者は、不言不語の中に皆しかく信じていたものである。そういう筆者も翁の事を追懐する毎に、そうした感を深めて行くものである。
翁の偉大なる人格と、その卓絶したる芸風は、維新後より現在に亘る西洋崇拝の風潮、もしくは滔々たる尖端芸術の渦の底に蔽われて、今や世人から忘れられかけている。翁も亦、不言不語の間にこの事を覚悟し満足していたらしい事が、その生涯を通じた志業の裡に認められる。そうして今は何等の伝うるところもなく博多下祇園町順正寺の墓地に灰頭土面している。墓を祭る者もあるか無しの状態である。その由緒深い昔の私宅や舞台も、見窄らしい借家に改造されて、軒傾き、瓦辷り、壁が破れて、覗いて見ただけでも胸が一パイになる有様である。
しかし翁の真面目はそこに在る。翁の偉大さ崇高さは、そうした灰頭土面の消息裡に在る。生涯の光輝と精彩とを塵芥、衆穢の中に埋去して惜しまなかったところに在る。