Classici giapponesi con furigana
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しいのき
椎の木
豊島 与志雄
Leggi 椎の木 (しいのき) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 25.870 caratteri · 52 schermate
それでも、彼に対する最初の動物的な本能的な反感は、どうしても消えなかった。それは単に彼の容貌や態度から来るものではないらしい。この点では、竹山茂樹の好悪の研究など、浅薄なものとなる。それよりももっと根深いものなんだ。
僕は両方の気持に板挾みになって、それでも、彼の慾求に逆らえなかった。近日中に茂樹に逢えるように取計ってやろうと約束した。
彼が帰ったあとで、僕は底の知れない夢想に沈んだ。酒をのんだ。それからふと思いついて、茂樹の母親へ、料理物を届けてやった。あの母親のことを考えると、何かしら気持がやわらぐのだ。
それから、君達が来て、あの通りの仕末だ。竹山の敏感さにも驚かされる。スパイだのハラゴンだの、見当はちがっていたが、とうとうあの拳銃を見つけてしまった。
だが、僕はもうわりに楽観している。父親が心をこめたるあの拳銃だ。それが何かの影響を竹山に及ぼすかも知れない。感応だの、霊感だの、そうした超自然的なことは信ぜられないとしても、父親の指跡の残ってる鋼鉄が、或は単に鋼鉄が、彼になにかよい影響を与えるかも知れない。
愛するものには、そうした空想も許されるだろう。