Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しいのき

椎の木

豊島 与志雄

Leggi 椎の木 (しいのき) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6002 caratteri · 13 schermate

Aozora Bunko

――なんだか、あやしいぞ。どうもそうらしい。あ、そうだ。これはいけない。

大きい鼠は一声たてて、逃げだしました。小さい鼠もそれにつづきました。

そして二匹の鼠は、いっさんに、がけの下へかけおりて姿をかくしてしまいました。

そこへのっそりと、一匹の三毛猫がやって来ました。椎の木の根のあたりをうそうそとかぎまわりました。

――これはおかしいぞ、こんなところに、鼠がいるわけはないが、どうも鼠くさい。おれが退屈してるように、鼠も退屈して、こんなところへ出て来たのかな。それにしても、俺が来たからって、逃げなくてもいいんだがなあ。俺はちょっとふざけてみせるだけで、鼠なんか食やしない。猫はそのあたりをかぎまわって、それから、落葉の上にねそべりました。

――鼠でてこい、鼠でてこい。いっしょに遊ぼうよ。

そんなことをぼんやり考えながら、猫は眼をほそめて、うっとりと眠りかけました。春の日があたたかくさして、落葉の上はよい心地でした。

やがて、遠い人声に猫はすこし眼を開きました。

青い大空に、なにか一筋、ほそいものがかかっていました。たいへん高いようでもあれば、すぐ低いようでもありました。