Classici giapponesi con furigana
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つばきのはなのあか
椿の花の赤
豊島 与志雄
Leggi 椿の花の赤 (つばきのはなのあか) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.755 caratteri · 22 schermate
「あなたを疑ぐりはしませんよ。」
「本当に信じて下さい。疑われるほどなら、僕は死んでしまいます。」
そして正枝は李を慰めてやり、うまい菓子をもてなしてやらねばならなかった。
正枝の人形は遂に行方不明に終った。
人形が紛失したのは、その日の朝の出来事から正午頃までの間だと正枝は云った。そしてこのことについて、止宿人の誰にも嫌疑はかけられないと正枝は断言した。話を詳しく聞いて私は、何か不可解な気持に囚われるのをどうすることも出来なかった。勿論、李を疑うわけではない。別所を疑うわけでもない。恐らく犯人は他にあろう。然しながら、その不思議な前後の事情より推して、この事件がへんに別所と結びついて考えられるのだった。別所に嫌疑をかけるというのでは更々なく、別所の心理とこのおかしな事件とが関係を持つのが否定し難いところに、この事件の不思議さがあった。
別所は其後一ヶ月ほどして、出版書肆の方もやめ、野田沢子とも別れ、李をもへんに疎んじて、荷物をまとめて郷里山口県の田舎へ帰ってしまった。
李は私に云った――「僕は別所君を好きでしたが、けれど、ああいうインテリは、僕の手におえません。