Classici giapponesi con furigana
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ようせんせい
楊先生
豊島 与志雄
Leggi 楊先生 (ようせんせい) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4772 caratteri · 10 schermate
」
私は微笑した。
「然し、町には町の風格があるでしょう。街路の曲り工合とか家並の連り工合とかがかもし出す一種の雰囲気ですね。それから各種の年中行事、殊に祭礼などは、町の風格の大きな要素となります。そういう風格が、都会人にとっては、故郷という観念を形成してくれはしないでしょうか。」
「それは違います。私が言うのは、生活的故郷でなくて、自然的故郷、浮動的な追憶的なそれでなくて、固定的な現実的なそれです。」
楊先生のこの理論は、私には分ったような分らないような、まあ曖昧模糊たるものであった。だが実際は、楊先生も、なにか曖昧模糊たる夢想を楽しんでいたに違いない。暫くすると、彼はぽつりと言いだした。
「この焼け跡を眺めながら、私は故郷のことをへんになつかしく想い起しますよ。」
彼の故郷は揚子江岸にある。その赤濁りの漫々たる大河が、この広々とした焼け野原と、異邦にある彼の脳裏で何かの関連を持ったのでもあろうか。
残念なことに、この時の話はまもなく打ち切られた。空襲警報が遠くから響いてきたのである。焼け野原のなかで詳しい情報は知る由もなく、私は危なげな腕前で自転車を走らせねばならなかった。