Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ようせんせい

楊先生

豊島 与志雄

Leggi 楊先生 (ようせんせい) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4772 caratteri · 10 schermate

Aozora Bunko

坂にさしかかって、自転車から降りて振り返ると、彼方に、楊先生はゆったりとした散歩の調子で、歩いてゆくのであった。

それからも一度、私は楊先生に逢った。終戦後、九月下旬の午後のことである。

私は日比谷の四辻を通りかかった。公園前の電車停留場には、乗客が長い列を作っていた。その列のなかに、私は長身の楊先生を見かけた。先方でも、列から少しはみ出しかげんに佇んで、わき見をしていたので、歩道を通りかかる私にすぐ気づいた。

私は別に急ぐ用もなかったので、彼が電車を待つ退屈を多少ともまぎらしてやるつもりで、傍に行って話をした。

彼ははでな仕立の背広服をつけ、チョコレート色の短靴、薄茶色のソフト帽、籐のステッキという、すきのない身装をしていた。

私は微笑して、彼の薪割り姿や焼け跡の散歩姿を思い浮べた。

「どちらへ。」

「これから帰宅するところです。或る会合に行ったのですが、実にくだらない。」

如何にもくだらなさそうに彼は言ったが、顔には笑みを浮べていた。

「面白くないことでもあったのですか。」

「面白くないというよりも、くだらないんです。」

そして彼は少し真剣になにか考えた。