Classici giapponesi con furigana
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ごくらく
極楽
菊池 寛
Leggi 極楽 (ごくらく) di 菊池 寛 (きくちかん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6532 caratteri · 14 schermate
感じられないほどの、わずかな差で段々衰えて行った。それが段々衰えて行って、いつしか消えてなくなってしまったと同時に、おかんの現世に対する意識は、烟のように消失してしまって居た。
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再びほんのりとした意識が、還って来る迄に幾日経ったか幾月経ったか、それとも幾年経ったか判らなかった。ただおかんが気の付いた時には、其処に夜明とも夕暮とも、昼とも夜とも付かない薄明りが、ぼんやりと感じられた。右を見ても左を見ても、灰色の薄闇が、層々と重って居た。足下にも汚れた古綿のような闇があった。それを踏んで居るおかんの足が、何かたしかな底に付いて居るのか何うかさえ、彼女には分らなかった。たゞ行手にだけは、右や左や上下などよりも、もっとあかるい薄闇があった。ほの/″\とした光明を包んだような薄闇があった。おかんは左右を顧みないで、たゞ一心に行手を急ぐより外はなかった。
到頭冥土へ来たことだけはハッキリと意識された。が、極楽へ行く道だろうか、地獄へ行く道だろうかと、おかんは歩きながら、疑って見た。が、そうした疑惑は、ふと足を止めた時などに、閃光のように頭を掠めるだけで、弥陀のお願を信じ切って居るおかんは、此の道が極楽へのたゞ一つの道である事を信じて居た。