Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.073 caratteri · 223 schermate
本当はあたしのことなんか忘れてたんでしょ、ことによると隣りのお久米さんとでもできたんじゃなくって、そうでしょ新さん。ばかなことを云わないで下さい、と新八が云った。あら、あんた赤くなったわね、ちょっとあたしの眼を見てごらんなさい。あたしの眼をまっすぐに見るのよ。よして下さい、そんな冗談はたくさんです、と新八は顔をそむけた。
「私はそれどころじゃあなかったんです」と彼は云った、「一日おきに道場へかよって、柿崎さんに稽古をつけられているんです」
「まあ、兄から、じかに」とおみやは眼をみはり、新八に茶をすすめながら、「それでわかったわ」と眉をひそめて云った。
「なんだか痩せたようだし、顔色もよくないと思ったけれど、兄の稽古がきびしいのね」
新八は眼を伏せた。おみやは敏感に彼の表情を読んだ、「なにかあったのね、新さん」
それは、と新八は口ごもった。おみやはいきごんで問いつめた。話してちょうだい、いったいなにがあったの、聞かないうちはおちつかないじゃないの、としんけんに云った。
新八はためらった、「このあいだ、柿崎さんが」と彼は吃りながら云った。
「石川さんの腕を折ったんです」