Classici giapponesi con furigana
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はしのした
橋の下
山本 周五郎
Leggi 橋の下 (はしのした) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.189 caratteri · 25 schermate
「僅かばかりな金を持っただけで、私たちはすぐに窮迫しましたが、自分たちの恋に勝ったというよろこびと、若いころの無分別さとで、ただもうその日その日を夢中ですごしておりました」
老人はそこでまた、さもたのしそうに首を振った、「無分別、――さよう、無分別もあながち悪くはありません、一日や二日、食事のできないようなことがあっても、却って二人の愛情をつよめ、自分たちが恋に勝った、ということを慥かめるように思えたものです、もちろん、それは二年か三年しか続きませんでしたが」
老人は低い声で笑った。薪を火にくべながら、喉でくすくすと笑い、失礼、といって続けた、「いまこの火を見ながら思ったのですが、火をもやすには薪がなければならない、薪がなくなれば火は消えてしまう、私たちの場合もそういうことだったのです、人を狂気にさせるほどの恋も、いつかは冷えるときが来る、恋を冷えないままにしておくような薪はない、それでも家を持ち子供が生れ、生活する能力があればべつでしょう、私たちにはそれがなかった、幸か不幸か子も生れず、職業といえるものも身につかず、家ときまった住居を持つこともできなかった。