Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はし

橋

池谷 信三郎

Leggi 橋 (はし) di 池谷 信三郎 (いけたにしんざぶろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.108 caratteri · 37 schermate

Aozora Bunko

――君に女優さんの友だちがあるんですか?

――そりゃあるわよ。

――君は橋の向うで何をしてるの?

――そんなこと、訊かないって約束よ。

――だって、……

――私は親孝行をしてやろうかと思ってるの。

――お母さんやお父さんといっしょにいるんですか?

――いいえ。

――じゃ?

――どうだっていいじゃないの、そんなこと。

――僕と結婚して欲しいんだが。

シイカは不意に黙ってしまった。やがてまた、マズルカがリラリラと、かすかに彼女の唇を漏れてきた。

――だめですか?

――……

――え?

――おかしいわ。おかしな方ね、あんたは。

そして彼女はいつものとおり、真紅な着物の薊の模様が、ふっくらとした胸のところで、激しい匂いを撒き散らしながら、揺れて揺れて、笑ったが、彼女の瞳からは、涙が勝手に溢れていた。

しばらくすると、シイカは想いだしたように、卓子の上の紙包みを解いた。その中から、美しい白耳義産の切子硝子の菓子鉢を取りだした。それを高く捧げてみた。電灯の光がその無数の断面に七色の虹を描きだして、彼女はうっとりと見入っていた。

彼女の一重瞼をこんなに気高いと思ったことはない。彼女の襟足をこんなに白いと感じたことはない。