Classici giapponesi con furigana
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きみつのみわく
機密の魅惑
大倉 燁子
Leggi 機密の魅惑 (きみつのみわく) di 大倉 燁子 (おおくらてるこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.394 caratteri · 37 schermate
年の若い、人の善さそうなこの男を、こうまで恐怖のどん底に突き落したのは一体誰の罪でしょう。私はそれを考えると、無責任な世間の人達に対して憤りを感ぜずにはいられません。殊に白石さんの場合は私が人知れず苦心して調査しているので、一層同情の念を深くしたわけです。
白石さんは最初ひたがくしにしていましたが、私が調査した結果を少しばかりほのめかすと彼は已に私が何もかも知りつくしているものと思い込んで、有喜子殺害事件のあった当夜、彼が見聞した事実を、私の問うままに包まず話してくれました。
『あの晩、途中まで送って行くと有喜子が頻りに辞退するので別れ、振り返ってみると後姿が二人になっていたというところまでは、総領事や同僚に話したのと同じですが、それから後の話は違っているのです。というのは、そのまま領事館に引返したのではなく、相手の男が何者だか見てやろうという好奇心に駆られて、後を尾けて行ったのです。すると言葉はよく分らないのですが、二人は何かひどく云い争いをしながら、あの暗い淋しい処まで来て立止ったので、自分も二三間ばかり離れた処で立ち止り、電柱の蔭に身を寄せてそっと覗いたのです。