Classici giapponesi con furigana
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はるはばしゃにのって
機械・春は馬車に乗って
横光 利一
Leggi 機械・春は馬車に乗って (はるはばしゃにのって) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 77.492 caratteri · 156 schermate
しかし、今は彼は一流のフランスの現実上の名士である。もし彼が何らかの意味で、現実という愚劣極(きわ)まればこそ最も重要な沃土(よくど)の意義をこの世に感じているものなら、今突如として湧(わ)き上ったこの胸を刺す諷刺(ふうし)の前で必ず苦杯を舐(な)めているにちがいない。――
こう梶の思っているとき「しッ、しッ」と小さな声でツァラアは犬を追った。けれども、勿論彼の云いわけのような声では犬は鎮るものではなかった。もう一座は犬のますます高まる声で均衡がなくなり、焦燥した筋肉が顔面に現れて来て、このままではこの夜の集りはただ一同不満足のまま散って帰るより仕方がなくなった。すると、突然、梶の友人は円塔の上を仰いで、
「馬鹿ッ馬鹿ッ馬鹿ッ」
と続けさまに大声で怒鳴った。その声はたしかに犬の声よりも大きかった。犬はまだ二声三声吠えつづけたが家人が日本語の怒声を聞きつけると、初めてテラスへ出て来て犬を屋内へ引き摺(ず)り入れた。再び梶の周囲のテラスでは談話が高級な問題をめぐってそちこちで始まったが、しかし、梶にはそれらの話よりも犬に向って発した友人の日本語の怒声の方が遙(はる)かに興味深く尾を曳(ひ)いて感じられるのであった。