Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 146.773 caratteri · 294 schermate

Aozora Bunko

「あんたは、つまるところ、今度の話を取消しにおいでになったわけじゃな。」

「いや、決してそんなわけでは……」

「なるほど、あんたの口から取消そうとはおっしゃらん。じゃが、その代りに、わしに取消させようというのが、あんたの本心じゃろう。」

「とんでもない。そんなふうにとられましては……」

「すると、やっぱりお芳は約束どおりもらってくださるのかな。」

「そりゃあ、もう、こちら様さえ、ただ今申上げたような事情を、十分ご承知くだすったうえのことであれば……」

「その事なら、はじめから承知していますがな。」

「そうですと、きょうわざわざお邪魔にあがる必要もなかったんです。ただ、私としましては、どの程度に正木からお話申上げてありますか、実はその点が非常に気がかりだったものですから……」

「あんたも、よっほど神経質じゃな、はっはっはっ。じゃが、わしもそれで安心しましたわい。」

と、運平老は、がらりとくだけた態度になり、

「いや、恥を言えば、おたがいさまでしてな。何しろ、お芳という女は、ご覧のとおりののろまで、女学校にもとうとうあがれなかったし、かたづいた先からは、子供が亡くなったのを幸いに追い出されるし、実は、もう、わしの方で、一生飼殺しの腹をきめて居りましたのじゃ。