Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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うたあんどん

歌行灯

泉 鏡花

Leggi 歌行灯 (うたあんどん) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 36.094 caratteri · 72 schermate

Aozora Bunko

一

宮重大根のふとしく立てし宮柱は、ふろふきの熱田の神のみそなわす、七里のわたし浪ゆたかにして、来往の渡船難なく桑名につきたる悦びのあまり……

と口誦むように独言の、膝栗毛五編の上の読初め、霜月十日あまりの初夜。中空は冴切って、星が水垢離取りそうな月明に、踏切の桟橋を渡る影高く、灯ちらちらと目の下に、遠近の樹立の骨ばかりなのを視めながら、桑名の停車場へ下りた旅客がある。

月の影には相応しい、真黒な外套の、痩せた身体にちと広過ぎるを緩く着て、焦茶色の中折帽、真新しいはさて可いが、馴れない天窓に山を立てて、鍔をしっくりと耳へ被さるばかり深く嵌めた、あまつさえ、風に取られまいための留紐を、ぶらりと皺びた頬へ下げた工合が、時世なれば、道中、笠も載せられず、と断念めた風に見える。年配六十二三の、気ばかり若い弥次郎兵衛。

さまで重荷ではないそうで、唐草模様の天鵝絨の革鞄に信玄袋を引搦めて、こいつを片手。片手に蝙蝠傘を支きながら、

「さて……悦びのあまり名物の焼蛤に酒汲みかわして、……と本文にある処さ、旅籠屋へ着の前に、停車場前の茶店か何かで、一本傾けて参ろうかな。