Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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うたあんどん

歌行灯

泉 鏡花

Leggi 歌行灯 (うたあんどん) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 36.094 caratteri · 72 schermate

Aozora Bunko

「影か、影か、阿媽、ほんとの按摩か、影法師か。」

と激しく聞く。

「ほんとなら、どうおしる。貴下、そんなに按摩さんが恋しいかな。」

「恋しいよ! ああ、」

と呼吸を吐いて、見直して、眉を顰めながら、声高に笑った。

「ははははは、按摩にこがれてこの体さ。おお、按摩さん、按摩さん、さあ入ってくんねえ。」

門附は、撥を除けて、床几を叩いて、

「一つ頼もう。女房さん、済まないがちょいと借りるぜ。」

「この畳へ来て横におなりな。按摩さん、お客だす、あとを閉めておくんなさい。」

「へい。」

コトコトと杖の音。

「ええ……とんと早や、影法師も同然なもので。」と掠れ声を白く出して、黒いけんちゅう羊羹色の被布を着た、燈の影は、赤くその皺の中へさし込んだが、日和下駄から消えても失せず、片手を泳ぎ、片手で酒の香を嗅分けるように入った。

「聞えたか。」

とこの門附は、権のあるものいいで、五六本銚子の並んだ、膳をまた傍へずらす。

「へへへ」とちょっと鼻をすすって、ふん、とけなりそうに香を嗅ぐ。

「待ちこがれたもんだから、戸外を犬が走っても、按摩さんに見えたのさ。こう、悪く言うんじゃないぜ……そこへぬっくりと顕れたろう、酔っている、幻かと思った。