Classici giapponesi con furigana
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わすれえぬひとびと
武蔵野
国木田 独歩
Leggi 武蔵野 (わすれえぬひとびと) di 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 94.018 caratteri · 192 schermate
自分はかれこれと話して見たが、何一つ身にしみて話すことができなかった。かれはただそわそわして少しも落ちつかないで、その視線を絶えず自分の目から避けて、時々『あはははは』と大声に笑った、しかし七年前の哄笑とはまるで違っていた。
命じて置いた酒が出ると、『いや僕はもう飲んで来た、沢山沢山。』かれは自ら欺いた。
『まあ一つ、』自分は杯をさした。
『ありがとう、』かれは心中のよろこびを隠し得なかった。自分はかれの返杯を受けないで、さらに一杯を重ねさした。さもうまそうに飲むかれを自分はじっと視ていた。かれは飲み干して自分の顔を見たが、野卑な喜びの色がその満面に動いたと思うとたちまち羞恥の影がさっと射して、視線を転じてまた自分を見て、また転じた。自分はもうその様子を視ていられなくなった。
『大ぶんお歳がゆきましたね、』思わず同情の言葉が意味を違えて放たれた。
『なに、これでまだまだ君なんかより丈夫だろう。この酒は上等だわイ。』
『白馬とは違いますよ、ハハハハハハ』と、自分はふと口をすべらした。何たる残刻無情の一語ぞ、自分は今もってこの一語を悔いている。しかしその時は自分もかれの変化があまり情けないので知らず知らずこれを卑しむ念が心のいずこかに動いていたに違いない。