Classici giapponesi con furigana
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わすれえぬひとびと
武蔵野
国木田 独歩
Leggi 武蔵野 (わすれえぬひとびと) di 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 94.018 caratteri · 192 schermate
ああこのごろ、年若き男の嘆息つきてこの木立ちを当てもなく行き来せしこと幾度ぞ。
水瀦に映る雲の色は心失せし人の顔の色のごとく、これに映るわが顔は亡友の棺を枯れ野に送る人のごとし。目をあげて心ともなく西の空をながむればかの遠き蒼空の一線は年若きわれらの心の秘密の謎語のごとく、これを望みてわが心怪しゅう躍りぬ。ああ年少の夢よ、かの蒼空はこの夢の国ならずや、二郎も貴嬢もこのわれもみなかの国の民なるべきか、何ぞその色の遠くして幽かに、恋うるがごとく慕うがごとくはたまどろむごとくさむるがごときや。げにこの天をまなざしうとく望みて永久の希望語らいし少女と若者とは幸いなりき。
池のかなたより二人の小娘、十四と九つばかりなるが手を組みて唄いつつ来たるにあいぬ。一目にて貧しき家の児なるを知りたり。唄うはこのごろ流行る歌と覚しく歌の意はわれに解し難し。ただ二人が唄う節の巧みなる、その声は湿りて重き空気にさびしき波紋をえがき、絶えてまた起こり、起こりてまた絶えつ、周囲に人影見えず、二人はわれを見たれど意にとめざるごとく、一足歩みては唄い、かくて東屋の前に立ちぬ。姉妹共に色蒼ざめたれど楽しげなり。