Classici giapponesi con furigana
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わすれえぬひとびと
武蔵野
国木田 独歩
Leggi 武蔵野 (わすれえぬひとびと) di 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 94.018 caratteri · 192 schermate
瓦降り壁落つ。われらみな樫の老木を楯にしてその陰にうずくまりぬ。四辺の家々より起こる叫び声、泣き声、遠かたに響く騒然たる物音、げにまれなる強震なり。
待てど二郎十蔵ともに出で来たらず、口々に宮本宮本、十蔵早く出でよと叫べども答えすらなし、人々は顔と顔と見合して愕き怪しみ、わが手を握りし岡村の手は振るいぬ。
この時わが胸を衝きて起こりし恐ろしき想いはとても貴嬢の解したまわぬ境なり、またいかでわが筆よくこれを貴嬢に伝え得んや。試みに想い候え、十蔵とは奸なる妻のために片目を失いし十蔵なり、妻なく子なく兄弟なく言葉少なく気重く心怪しき十蔵なり。二郎とはすなわち貴嬢こそよく知りたもう二郎なり。あわれこの二人は始めよりその運命を等しゅうすべきところありて黙々のうちその消息を互いに会しいたるならざるか。柱鳴り瓦飛び壁落つる危急の場にのぞみて二人一室に安座せんとは。われこれを思いし時、心の冷え渡るごとき恐ろしきある者を感じぬ、貴嬢はただこの二人ただ自殺を謀りしとのみのたもうか、げに二郎と十蔵とは自殺を謀りしなるべきか。あらず、いかで自殺なる二字をもってこの二人の怪しき挙動の秘密を解き得べきぞ、貴嬢がいわゆる人とは自ら生きんことを計り自ら死なんことを謀る動物なるべし、この二つの一つを出でざる動物なるべし。