Classici giapponesi con furigana
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わすれえぬひとびと
武蔵野
国木田 独歩
Leggi 武蔵野 (わすれえぬひとびと) di 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 94.018 caratteri · 192 schermate
夜食が済むと座敷を取り片付けるので母屋の方は騒いでいたが、それが済むと長屋の者や近所の者がそろそろ集まって来て、がやがやしゃべるのが聞こえる。日はとっぷり暮れたが月はまだ登らない、時田は燈火も点けないで片足を敷居の上に延ばし、柱に倚りかかりながら、茫然外面をながめている。
『先生!』梅ちゃんの声らしい、時田は黙って返事をしない。『オヤいないのだよ』と去ってしまった、それから五分も経ったか、その間身動きもしないで東の森をながめていたが、月の光がちらちらともれて来たのを見て、彼は悠然立って着衣の前を丁寧に合わして、床に放棄ってあった鳥打ち帽を取るや、すたこらと梯子段を下りた。
生垣を回ると突然に出っくわしたのがお梅である。お梅はきゃんな声で
『知らないよ。いいジャアないかあたしがだれのうわさをしようがお前さんの関った事ジャアないよ、ねエ先生!』
時田は驚いて木の下闇を見ると、一人の男が立っていたが、ツイと長屋の裏の方へ消えてしまった。
『だれ。』時田は訊ねた。
『源公の野郎、ほんとにこの節は生意気になったよ。先生散歩?』お梅は時田のそばに寄って顔をのぞくようにして見た。