Classici giapponesi con furigana
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わすれえぬひとびと
武蔵野
国木田 独歩
Leggi 武蔵野 (わすれえぬひとびと) di 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 94.018 caratteri · 192 schermate
『何を言っても命あっての物種だ、』と大きな声で独言を初めた、『どうせ自分から死ぬるてエなアよくよくだろうが死んじまえば命がねえからなア。』
この時クスリと一声、笑いを圧し殺すような気勢がしたが、主人はそれには気が付かない。
『命せえあればまたどんな事でもできらア。銭がねえならかせぐのよ、情人が不実なら別な情人を目つけるのよ。命がなくなりゃア種なしだ。』
娘が来て、
『何言ってるの?』気味わるそうに言う。
『命あっての物種だてエ事よ、そうじゃアねえか、まアまア今夜なんか死神に取っ付かれそうな晩だから、早く帰ってよく気を落ち着けて考えるんだなア。』
『何言ってるの。』
『まア出直した方がいいねエ、どうせ死ぬなら月でもいい晩の方がまだしゃれてらア。』
『いやな、』と娘は言って座敷の方へどたばたと逃げ出してしまった。
『出直した、出直した。その方がいい、あばよ、』と言って主人はよろめきながら出て来たが、火鉢の横にころりと寝たかと思うとすぐ大いびきをかいている。
『ほんとにこんなとこア早く越してしまいたいねえ、薄気味の悪い。しまいにはろくなことはないよ、ねえお菊。』母親はやはり針仕事を始めながら、それも朝が早いからもうそろそろ眠そうな目つきでいう。