Classici giapponesi con furigana
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しまでをかたる
死までを語る
直木 三十五
Leggi 死までを語る (しまでをかたる) di 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 42.739 caratteri · 85 schermate
中々いい女である。
青春期の男女や、貴族、上流の婦人は、広く交際をしないから、すぐ手近い所の異性で済ます癖のある物であるが、私の前へ現れた女性として、私の齢に合うのは、この人だけである。
然し、私は、何事も、貧乏人的に育ってきたから、こうした女と恋をしようなどとは、決して、考えていなかった。
所が、ある夜薬局にいると一枚の処方箋を、徳子さんがもってきたが、その中に、散薬を包む四角い紙が入っていた。そして、その中に
「私は貴下が好きです」
と、書いてあった。私は、私の身体が、熱くなって、少しぼう張したように感じた。ああいう女が、女の方から、私に云いよるなんぞ、それは、何かの間違いではなかろうか、何うして返事を――何ういう文句で、何うして、それを手渡すか?
「私も、貴女が好きです」
という紙を、然し、次に徳子さんが、処方箋をもってきた時に、巧みに、人目に見つからぬよう渡した。
所が、この散薬紙での文通以外、話する事も、何うする事もできない。それで、私は、患者の来ぬ昼間、病院へ出かけて行って、話する事にした。然し、そうなると徳子さん程の女と、徳子さん程の女に思いつかれる程の男とだから、忽ち、評判になって、一日行って見ると、徳子さんが居ない。