Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
しご
死後
Leggi 死後 (しご) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 2956 caratteri · 6 schermate
妻はもう一度僕の顔を見上げた。僕はその顔を眺めた時、とり返しのつかぬことの出来たのを感じた。同時にまた僕自身の顔色も見る見る血の気を失ったのを感じた。
「ちゃんとした人じゃないんだね?」
「あたしは悪い人とは思いませんけれど、……」
しかし妻自身も櫛部某に尊敬を持っていないことははっきり僕にわかっていた。ではなぜそう言うものと結婚したか? それはまだ許せるとしても、妻は櫛部某の卑しいところに反って気安さを見出している、――僕はそこに肚の底から不快に思わずにはいられぬものを感じた。
「子供に父と言わせられる人か?」
「そんなことを言ったって、……」
「駄目だ、いくら弁解しても。」
妻は僕の怒鳴るよりも前にもう袂に顔を隠し、ぶるぶる肩を震わせていた。
「何と言う莫迦だ! それじゃ死んだって死に切れるものか。」
僕はじっとしてはいられない気になり、あとも見ずに書斎へはいって行った。すると書斎の鴨居の上に鳶口が一梃かかっていた。鳶口は柄を黒と朱との漆に巻き立ててあるものだった。誰かこれを持っていたことがある、――僕はそんなことを思い出しながら、いつか書斎でも何でもない、枳殻垣に沿った道を歩いていた。