Classici giapponesi con furigana
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ししゃのしょ
死者の書
折口 信夫
Leggi 死者の書 (ししゃのしょ) di 折口 信夫 (おりくちしのぶ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 62.340 caratteri · 126 schermate
四五十年あとまでは、唯関と言うばかりで、何の標もなかった。其があの、近江の滋賀の宮に馴染み深かった、其よ。大和では、磯城の訳語田の御館に居られたお方。池上の堤で命召されたあのお方の骸を、罪人に殯するは、災の元と、天若日子の昔語りに任せて、其まま此処にお搬びなされて、お埋けになったのが、此塚よ。
以前の声が、もう一層皺がれた響きで、話をひきとった。
其時の仰せには、罪人よ。吾子よ。吾子の為了せなんだ荒び心で、吾子よりももっと、わるい猛び心を持った者の、大和に来向うのを、待ち押え、塞え防いで居ろ、と仰せられた。
ほんに、あの頃は、まだおれたちも、壮盛りじゃったに。今ではもう、五十年昔になるげな。
今一人が、相談でもしかける様な、口ぶりを挿んだ。
さいや。あの時も、墓作りに雇われた。その後も、当麻路の修覆に召し出された。此お墓の事は、よく知って居る。ほんの苗木じゃった栢が、此ほどの森になったものな。畏かったぞよ。此墓のみ魂が、河内安宿部から石担ちに来て居た男に、憑いた時はのう。
九人は、完全に現し世の庶民の心に、なり還って居た。山の上は、昔語りするには、あまり寂しいことを忘れて居たのである。