Classici giapponesi con furigana
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ししゃのしょ
死者の書
折口 信夫
Leggi 死者の書 (ししゃのしょ) di 折口 信夫 (おりくちしのぶ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 62.340 caratteri · 126 schermate
併し、世の中はもう、すっかり変って居た。見るもの障るもの、彼の心を苛つかせる種にならぬものはなかった。淡海公の、小百年前に実行して居る事に、今はじめて自分の心づいた鈍ましさが、憤らずに居られなかった。そうして、自分とおなじ風の性向の人の成り行きを、まざまざ省みて、慄然とした。現に、時に誇る藤原びとでも、まだ昔風の夢に泥んで居た南家の横佩右大臣は、さきおととし、太宰員外帥に貶されて、都を離れた。そうして今は、難波で謹慎しているではないか。自分の親旅人も、三十年前に踏んだ道である。
世間の氏上家の主人は、大方もう、石城など築き廻して、大門小門を繋ぐと謂った要害と、装飾とに、興味を失いかけて居るのに、何とした自分だ。おれはまだ現に、出来るなら、宮廷のお目こぼしを頂いて、石に囲われた家の中で、家の子どもを集め、氏人たちを召びつどえて、弓場に精励させ、棒術・大刀かきに出精させよう、と謂ったことを空想して居る。そうして年々頻繁に、氏神其外の神々を祭っている。其度毎に、家の語部大伴語造の嫗たちを呼んで、之に捉え処もない昔代の物語りをさせて、氏人に傾聴を強いて居る。