Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さつじんき

殺人鬼

浜尾 四郎

Leggi 殺人鬼 (さつじんき) di 浜尾 四郎 (はまおしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 6139 caratteri · 13 schermate

Aozora Bunko

詐欺だの横領の犯人になると、ずいぶん悪智慧をめぐらして犯罪を行う奴がいるが、殺人犯人にはちよつとないね。だいたい人を殺すなんて事が、馬鹿な話だからね。智慧のある奴じやできないよ」

彼は紅茶をすつかり呑んでしまつて、次の一杯をまた命じた。

「じや、智慧のある人間は殺人をしないとして、殺人狂なんてものはどうだい」

「殺人狂はたくさんある。しかし、余り智慧がないから、名探偵が出るまでもなく直ぐ捕まるよ」

「生来的に殺人狂で、そうしてすばらしく智慧のある奴が出て来ると、いよいよ名探偵が出動するわけかね。どうだい、そういう犯人と一つ一騎打の勝負をやつては?」

「それは僕も望んでいることなんだが、まあ当分だめらしいな」

藤枝はこういいながら、二本目のシガレットを灰皿にポンと投げこんだ。

人間というものは、どんなに偉くても一寸先も見えるものではない。

こんな会話があつてから、半月もたたぬうちに、藤枝はかねて望んでいた通りの――いやあるいはそれ以上の、大罪人と一騎打の勝負をしなければならなかつたのである。

しかも、その大惨劇の序曲が、この会話から一時間もたたぬうちに、はじまろうとは、全く思いもかけぬ事だつた。