Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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みずのへんろ

水の遍路

佐藤 垢石

Leggi 水の遍路 (みずのへんろ) di 佐藤 垢石 (さとうこうせき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 3481 caratteri · 7 schermate

Aozora Bunko

それからというもの、私は暇さえあれば諸国を釣り歩いた。渓流、平野の川、海、湖水。どこであろうと、嫌うところなく釣りを楽しんだ。

故郷上州の水は、殊に親しみ深い。我が家の近くを、奥深い上越国境大利根岳から流れ出て、岩を削って迸り、関東平野を帯のように百里あまりも悠々と旅してゆく利根川のことはここに説明するまでもない。片品川、赤谷川、湯桧曽川、谷川、宝川、楢俣川、薄根川、大尻川、根利沢、砂沢、南雲沢、吾妻川など、利根川へ注ぐ数多い支流へは、幾度も幾度も分け入った。

浅間山麓六里ヶ原を流れる、さまざまの渓流も忘れ得られない。碓氷峠の山水を飾る碓氷川、霧積川、坂本川も長い年月、我が釣意を誘うところであった。

妙義山の南麓から出る西牧川と南牧川を合わせる鏑川の水は美しい。おいしい鮎が大きく育つ。わけて南牧川の支流、塩沢川の山女魚には、数々の想い出がある。

裏秩父と、御荷鉾とがはさむ渓谷には、深い神流川が流れている。秩父古生層の洒麗な岩の間から、滴り落ちるこの川の水は、冷徹そのものである。鬼石の町から坂原を越え、万場へ出て中里村、上野村へ入れば、次第に山の景観は深邃を加え、渓の魚も濃い。