Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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すいちゅうのきゅうでん

水中の宮殿

野村 胡堂

Leggi 水中の宮殿 (すいちゅうのきゅうでん) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 26.533 caratteri · 52 schermate

Aozora Bunko

父の汚名を雪ぐ――大事な使命

父の汚名を雪ぐ――大事な使命

「お嬢様、大急ぎで鎌倉の翠川様の別荘へいらしって下さい」

「どうしたの、爺や」

「どうもしませんが、夏休になったら、泊りにいらっしゃるお約束じゃございませんでしたか」

「でも、爺や一人で不自由な事はない?」

「私はもう六十八ですもの、どんな事があったって驚きやしません」

「まア、なんかあったの爺や」

立花博士の遺児、今年十四になる綾子は、呆気に取られて正平爺やの顔を見詰めました。

「お嬢様、それじゃ申し上げますが、――お嬢様が此処にいらっしゃると、命が危いんです」

「そんな事が爺や」

「今朝、お嬢様のお部屋のバルコニーの欄干の襖が抜けて、お嬢様がいつものように凭れれば、すぐ外れるようになっていたのを御存じでございますか」

「まア」

「あのバルコニーから落ちると、下はコンクリートですから助かりっこはありません」

「それから――」

正平爺は綾子の耳に口を寄せました。渋紙色の皮膚や白髪になりきった頭が近々と来ると、小さい時分、この爺やに抱かれて、植物園や動物園を遊び歩いた事などを思い出して、ツイ綾子の眼は追憶の涙に濡れるのでした。

「お嬢様、そればかりじゃございません。