Classici giapponesi con furigana
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すいま
水魔
田中 貢太郎
Leggi 水魔 (すいま) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.727 caratteri · 24 schermate
「それは何かのまちがいじゃありますまいか、裏門から人をお伴れするにしても、私の家の裏門は、河に向っておりますので、船からでなくちゃ入れませんし、そして、我家の婢と云うのは、どんな女でしたでしょう」と、岩本の方を向いて云った。
「十六七の色の白い、友禅模様のような羽織を着ておりました」と岩本が云った。
「……そう、それじゃ、いよいよ私の家じゃありません、私の家には、今お取次した、婆やより他に、婢を置いたことがありません」と、女主人は云いきった。
二人はつぎほがないのですごすごとそこを出たが、二人の裏門を入る姿をまざまざと見ている岩本は、どうも腑に落ちないので、門の左側になった裏門らしい処へ往ってみた。コールタで塗った門の扉がたしかにあるので、そっと手をかけてみると扉の枢はすぐ落ちた。そこはその傍の問屋の荷揚場らしい処で、左側に山口家の船板塀があり、右側に隣の家の煉瓦塀があった。二人はその中へ入って往った。
行詰に石垣に寄せて縁側のようにした一幅の桟橋がかかっていて、その下には大川の水が物の秘密を包んでいるように満満と湛えていた。二人は河の面を見入った後に黙って顔を見合して衝立った。