Classici giapponesi con furigana
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こおりぐらのにかい
氷蔵の二階
宮本 百合子
Leggi 氷蔵の二階 (こおりぐらのにかい) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.201 caratteri · 37 schermate
「割にいいでしょ」
と云った。
「まるでがたがたなんですものねこの家ったら。――せめて自分達のいる処でも心持よくしとかなけりゃ――そりゃそうと、私ったらまだ自分の名も云わないで」
芦沢の細君は、姉らしく笑った。
「あなたの名は、下できいたんだけど……」
「房、どうぞよろしく」
「ああそうそう、お房さん、いい名ね、私は滑稽でしょ、森律子と同じなんですよ、名ばかり同じだって、こんなおたふくじゃ何にもならないわね」
律は、勤め先のカフェーが今建て増しで休業中なこと、そこにもう三年勤め、一番の古株になったことなど話した。
「いくら古参になったって大したこともないんですよ、でもやめられない訳があるんでね……もう一年――うちがM大学を出るまで――あなたは? お志野さんと御一緒だったんですか?」
「ええ、国の補習科の時分――」
「へえ、じゃあ同じ局じゃあないんですか」
房は、簡単に自分の境遇を説明した。
「まあ、私はずっと御一緒かと思ってた――そうですか、じゃあ、余りあのひとのこともお知んなさらないわけですわね――今じゃ元気になったけど、来たばかりの時ったら、そりゃお話になりませんでしたよ」