Classici giapponesi con furigana
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こおりぐらのにかい
氷蔵の二階
宮本 百合子
Leggi 氷蔵の二階 (こおりぐらのにかい) di 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.201 caratteri · 37 schermate
さようならと云ったら、それが永久のさようならとなりそうな、異様に淋しい気が房にした。
彼女は、頭で、
「じゃあ」
と会釈し、外へ出た。
毎日晴れ渡った初夏の日が続いた。廊下の西窓から、夕方、目の醒めるような夕栄えが展望された。房はその空のように広々し、同時に物寂しかった。国の傍の温泉へ十日も行き、須田へ戻る計画であった。志野から、やっと三日目、房が明日出るという日に手紙が来た。水色角封筒の裏に、つぼみ、志野よりとしてある。房は、なかをよんだ。
「そちらにいるうちに、本当にいろいろ御厄介になりました。厚くお礼申します。生みの姉のような御親切、決して決して忘れません。こちらは、家が急に都合悪く、隣の家に貸間のあったのを幸、そこへ一先ず落付きました。二間あります。やっぱり間借りですが、スイト・ホームよ。どうかお体を御大切に、大垣さんからよろしくということです」
房は、表裏をかえし、封筒の中まであらためたが、所書は出て来なかった。
底本:「宮本百合子全集 第二巻」新日本出版社
1979(昭和54)年6月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第5刷発行