Classici giapponesi con furigana
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Leggi 江戸情話集 (かごつるべ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 203.779 caratteri · 407 schermate
「実はそんな相談もあったらしい」と、外記ももう隠していられなくなった。口では苦笑いをしながらも、すぐにそのくちびるから軽い溜め息がもれた。
「おや、そんなら何どきそのむごい目に逢わんすかも知れんすまいに、おまえ、その時はどうしなんす」
「それは当分沙汰止みになったらしい、市ヶ谷の叔父が不承知で……。叔父はずいぶん口喧ましいのでうるさいが、又やさしい人情もある。もう少し仕置きを延ばして、当人の成り行きを見届けるというような意見で、ほかの親類共もまず見合せたらしい。こんなことはみんなおれに隠しているが、角助めがどこからか聞き出して来る。なかなか抜け目のない奴だ」
笑う顔のいよいよ寂しいのが綾衣の眼には悲しく見えた。この頃は少しく細ったような男の白い頬に、鬢のおくれ毛が微かにふるえているのも美しいようでいじらしかった。
「でも、いつまでもこの通りでいなんしたら、遅かれ速かれ、やっぱり一間住居に決まりんしょうが……」
「一間住居は蹴破っても出る」と、男の眼には反抗の強い光りがひらめいた。
綾衣はぞっとするほど嬉しかった。彼女はいつもこの強いひとみに魅せられるのであった。