Classici giapponesi con furigana
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Leggi 江戸情話集 (かごつるべ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 203.779 caratteri · 407 schermate
いわば両方が五分五分で秤にかけたら重い軽いはないはずである。殿様に死ぬようなことがあればわたしも死ぬ。わたしに死ぬようなことがあれば殿様も死ぬ。それよりほかにはもう二人の行く道はないので、わたしの為に殿様が家を亡ぼしたとか、身を滅したとかいう風に思い違いをされては困る。わたしはこの末たといどうなろうとも、露ほども殿様を恨もうとは思わない。殿様もまたわたしに不足をいう道理がない。まあ、お前がたは黙って見物していてくれというのであった。
そのことばの裏には或る怖ろしい覚悟が潜んでいるらしく思われたので、お時はさらに胸を冷やした。この上になおも無理なことを言い出したら、二人はいよいよ突き詰めてどんなことを仕でかすかも知れない。お時はそれを想像するさえ身の毛がよだった。もうこうなったら黙って成り行きを窺っているよりほかはないと、お時は腫れものに触るようなおびえた心持ちで、遠くからそっと二人を眺めていた。
しかし、どう考えても此のままで済もうとは思われなかった。やがて廓の颶風がここへ舞い込んで来て、それからいろいろの渦を巻き起すことはありありと眼に見えているので、お時は毎朝の空を眺めて、きょうが其の破滅の悪日ではないかと、いつも怖ろしい予覚におびやかされていた。