Classici giapponesi con furigana
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Leggi 江戸情話集 (かごつるべ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 203.779 caratteri · 407 schermate
お身は帰るか」と、半九郎は酔っている連れにきいた。
「弟が何とかするであろうよ」と、市之助は相変らず横着を極めていた。
「よい弟を持って仕合せだ。おれはちょっと戻らなければなるまいか」
半九郎はしぶしぶ起き上がって、八介と一緒に出ると、お染は角まで送って来た。
「お前さま。もうこれぎりでお戻りになりませぬかえ」
「いや、戻る。すぐまた戻って来る。待っておれ」
酔っていても半九郎はしっかりした足取りで歩いた。宿所へ帰って、彼は八介に指図して忙がしそうに荷作りをした。さしたる荷物もないのであるが、それでも一ほどの暇を潰して、主人も家来もがっかりした。表では雨の音がはらはら聞えた。
「旦那さま。降ってまいりました」
「降って来たか」
「昼から催しておりました。今のうちに降りましたら、お発ちの頃には小春日和がつづくかも知れませぬ」
道中はともかくも、今夜の雨を半九郎は邪魔だと思った。彼は落ち着かない心持ちで、すぐにまた表へ出ようとした。
「またお出掛けでござりますか」と、八介は暗い空を仰ぎながら言った。
酔いは出る、からだは疲れる。半九郎はもうそこに寝ころんでしまいたかったが、彼の心はやはりお染の方へ引かれていった。