Classici giapponesi con furigana
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かわあかり
河明り
岡本 かの子
Leggi 河明り (かわあかり) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 49.244 caratteri · 98 schermate
気を取り紛らす燦々たる星がなければ、永くはその凝澄した注視に堪えないだろう。
燦々たる星は、もはやここではただの空の星ではない。一つずつ膚に谷の刻みを持ち、ハレーションを起しつつ、悠久に蒼海を流れ行く氷山である。そのハレーションに薄肉色のもあるし、黄薔薇色のもある。紫色が爆ぜて雪白の光茫を生んでいるものもある。私は星に一々こんな意味深い色のあることを始めて見た。美しい以上のものを感じて、脊椎骨の接目接目に寒気がするほどである。
空地の真中から、草葺きのバンガローが切り拓かれた四方へ大ランプの灯の光を投げている。
その光は巻き上げた支那簾と共に、柱や簾に絡んでいる凌霄花にやや強く当る。欄干の下に花壇もあるらしい。百合と山査子の匂いとだけ判って、あとは私の嗅覚に慣れない、何の花とも判らない強い薬性の匂いが入れ混って鬱然と刺戟する。
私と社長は、その凌霄花の陰のベランダで、食後の涼をいつまでも入れている。娘は食後の洗物を手伝って、それから蓄音機をかけて、若い事務員たちのダンスの相手をしてやっていたが、疲れた様子もなく、まだ興を逐うこの僻地に仮住する青年たちのために、有り合せの毀れギターをどうやら調整して、低音で長唄の吾妻八景かなにかを弾いて聞かしている。